音楽のジャンルを表す用語は、時代と共に色々変わっていく一方で、「昔からそう呼ばれているジャンル」で売り出さないと売れないという。
たとえば、クラシック音楽の系列に連なる「現代音楽」は、おおむね戦後に作曲されたモダンな音楽を指すが、用語本来の意味ではジャズもロックも現代の音楽である。しかし、「現代音楽」と昔から呼ばれている音楽は、そのままの名称で売り出さない限り、音楽CDや音楽ダウンロードの現場では売り上げが悪い。
IT関連用語の中にも、より正鵠を射た用語として提唱されたにも係わらず、少なくとも国内のマーケティング上はあまり浸透していない用語として、「ICT」と「マルウェア」がある。
ICTは、従来のIT(Information Technology)を拡張して、「コミュニケーション」を加えた用語として提唱された「Information and Communications Technology(情報通信技術)」の略称であり、IT業界ではよくある「三文字略語」の流儀にもフィットしているのだが、これが今ひとつ定着しない。
「マルウェア」は、クラックツールやコンピュータウイルス・ワーム・スパイウェアに、悪質なアドウェア等々非常に広い範囲を含んでおり、「悪」を意味する接頭詞の"mal-"にソフトウェア全般を意味する"ware"を繋げた比較的新しい造語である。(Wikipediaより)
これもそれほど定着しているとは言い難い。
英語圏の場合、「悪」(Mal)の接頭語により、イメージは定着しやすいのであろうが、この音訳をそのまま日本で普及させるのは、なかなか難しい。「マル」は「○」に通じ、凶悪なイメージがないのだ。
ICTのほうは、後半の「CT」がケーブルテレビジョン(Cable Television)の略として使われていたり、Computed Tomography(断層撮影)という医学用語の略だったりする。またICTと書くと、ICU(集中治療室)と紛らわしく、ネガティブなイメージになってしまう。
そのような諸事情により、まだしばらくは、専門家の用語では「ICT」と「マルウェア」で、一般/マーケティング用語としては、「IT」と「ウィルス」で行くしかないのであろう。実際にSEO(検索エンジン最適化)の現場を見ても、「ウィルス」というキーワードで上位表示が競われている。
(編集部 真田裕一)
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